INTERVIEW

家庭を犠牲にせず仕事にも全力投球!
そんな働き方ができる「在宅勤務」のススメ

真田暁子
インベストメントカレッジ

仕事にも子育てにも妥協しない働き方とは?

新卒採用でソニー・アメリカに入社して以来、ずっとアメリカでキャリアを積んできた私が、十数年ぶりに日本への帰国を決めたのは、夫が転勤で日本に帰ることが決まったからでした。
もともとアメリカ・シリコンバレーで働く日本人として、現地コミュニティで出会った私たち。結婚後もしばらくはそれぞれの仕事に邁進していましたが、「そろそろ子どもが欲しいね」と話していた矢先に彼の転勤が決まったのです。さすがに日本とアメリカに分かれて生活することはできないと思い、退職して一緒に帰国することを決意しました。
私にとって、夫の転勤先はまったく見知らぬ土地でした。友だちや親戚もおらず、キャリアを断絶させたくもなかったので、帰国後はなるべく早く仕事を再開したかった。そこで選んだのが、前職の経歴とスキルを活かした派遣社員です。派遣社員なら採用選考にそれほど時間がかからず、専門性の高い職種なら比較的早く正社員になることも可能だからです。
前職では、ソニーのプロダクトを手がけるエンジニア部門のプロジェクトマネージャーとして、アメリカマーケットとメキシコ・カナダマーケットを担当していた私。派遣先でもプロジェクトマネージャーとしての職域で、海外との折衝業務に当たっていました。

ところが、ほどなくして念願の赤ちゃんを授かったとき、すでに正社員になることが決定していたのに、私は仕事を辞めざるを得なかったのです。というのも、その職場は海外とのやり取りで、どうしても残業が多くならざるを得なかったからです。夫は海外出張が多く、身近に頼れる人もいないなかで、ハードワークをしながらはじめての出産・育児に臨むのは、かなり無理がありました。そんなわけで、出産ぎりぎりまで働いたあとは、次の道を模索せざるを得なかったのです。
私にとって、仕事は人生の達成感を味わうためになくてはならないものです。家族や子育ても大事ですが、それと同じくらい仕事も大事。だから、結婚して子どもを授かってからも仕事を続けるというのは、私にとって規定路線でした。とくにアメリカで働いていたときは、周囲にも育児を理由にキャリアを断絶させる人がいなかったので、そもそも専業主婦になるという選択肢が自分のなかにはなかった。
とはいえ、家族も仕事も両方とも犠牲にしない働き方は、どこの職場でもできるわけではありません。新生児の赤ちゃんって2~3時間おきの授乳が必要なので、お母さんは夜も小刻みな睡眠しかとれないくらいハードです。それでも出産後はなるべく早く仕事を再開したかった。「どうすれば家庭と仕事を両立させられるだろう」と、かなり考えました。
行き着いたのが「在宅勤務」という選択肢。在宅勤務なら、出社しなくていいので赤ちゃんと一緒に家にいられます。もちろん、1日中赤ちゃんと一緒ということはフルタイムでの勤務は無理で、子どもが寝ているあいだにちょっと仕事をするという感じの軽いスタートでしたが、当時の私にとってはベストな選択肢でした。

事業に関わる仕事がしてみたい!

コロナ禍で在宅勤務は当たり前のようになりましたが、私がダイレクト出版に入社した2014年当時は、まだそれが可能な職場は限られていました。友人たちも、今でこそリモートで在宅勤務ができる人が多くなりましたが、当時から在宅で働いていたのは私だけです。ダイレクト出版は、コロナ禍以前から在宅勤務が可能なようにインフラが整えられていた稀有な会社の1つでした。
決め手となったのは、代表の小川が執筆した採用ホームページのメッセージです。考え方がとても明晰で、かつ先進的。成果主義というのも、ずっとアメリカで働いてきた自分の肌に合っていると思いました。仕事の内容云々よりも、まずその社風に「面白そうな会社だな」と感じたのを覚えています。
そこで、「秘書」という職種でしたが、採用試験を受けることにしたのです。ずっとプロジェクトマネージャーを務めてきたので、秘書というのは未経験でしたが、面接のときに話を聞いてみると、プレゼン資料の作成や翻訳業務、また社内報の制作など、どちらかといえば小川のアシスタント的な業務が中心とのこと。それなら秘書としての専門知識がなくても何とかなりますから、当たってくだけろの精神で取り組むことにしました。
しばらくすると、小川のアシスタント業務だけでなく、他の事業部からもプレゼン資料や商品スライドの作成依頼が舞い込むようになりました。そうやっていろんな事業部の仕事や商品を見ていると、なんだかすごく面白そうなんですよね。
それまでダイレクト出版のカルチャーは間違いなく面白いと感じていましたが、商品に対しては漠然としたイメージしかありませんでした。それが事業部と直接、仕事で関わるようになって、「なるほど! こういうプロダクトを販売しているのか」という

ことがはっきりと理解でき、俄然、興味が湧いてきたのです。アシスタントや秘書としてではなく、事業に関わる仕事がしてみたいと思うようになりました。
ちょうど子どもの夜泣きも収まって、余裕が生まれてきたころ。集中したいときは子どもを近くの保育園に預けられるようにもなっていたので、思い切って小川に直談判することに。「私も事業に関わる仕事がしたい。在宅で迷惑はかけられませんが、何かできることはありませんか?」と聞いたところ、「それならPPC広告(「Pay Per Click」の略で、クリック1回ごとに課金される形式の広告)やってみる? 家でできるし」と軽いノリの返事が(笑)。ダイレクト出版のフットワークのよさを改めて実感しましそこから新人研修を受け、当時、自己啓発部門のPPCのリーダーを務めていた方が師匠役を引き受けてくださり、仕事をしつつマンツーマンでオンライン教育を施してくれました。それ以来、出版部門、マーケティング事業部、そして今のインベストメントカレッジと異動してきましたが、いずれもPPC広告を担当しています。

心がけているのは「自分から動く」姿勢

ったのですが、意外にもこの仕事は私に向いていました。というのも、広告運用で成績を上げるためにはPDCAのサイクルをきちんと回すことが重要なのですが、それは私が前職で徹底して身に付けてきたことだったからです。
PDCAと は、Plan( 計 画 )、Do( 実 行 )、Check( 評 価 )、 Action(改善)のことで、このサイクルを繰り返しおこなうことで業務の最適化を図ります。チームを率いるプロジェクトマネージャーにとっては必須とも言える基礎的なスキルですが、広告運用においても、仮説(Plan)を立てて実行(Do)し、検証(Check)して改善(Action)していくというプロセスが非常に私はダイレクト出版の強みを「スピード感」だと思っていますが、それも検証データを素早く集められるから。たとえ結果が悪くても、そもそもデータがなければ検証のしようがありませんから、それをスピーディに集められるのはすごい強みなのです。

善策に反映させて精度を高めていきます。自分なりに打開策を探して、「仮説を立てて検証する」というプロセスをひたすら繰り返す。成果を上げるにはその繰り返しが重要です。
ダイレクト出版は個人主義の風潮がやや強い面がありますが、わからないことは聞けば、きちんと教えてもらえます。ずっと在宅勤務の私にも「師匠」と呼べるような人は何人かいて、困ったときには聞けばアドバイスをもらえます。
仕事でプレッシャーを感じることもありますが、そんなときに心の拠りどころになるのも師匠たちの存在です。人間、やるべきことが明確になると、「あとはこれをやるだけだ!」とプレッシャーに立ち向かえるものです。迷いがあるほど打たれ弱い。師匠たちにアドバイスをもらうと、自分のなかでやるべきことが明確になってくるので、すごく心強く感じています。
在宅勤務だと普段、他の社員と直接顔を合わせないので、どうしても社内の人間関係は希薄になりがちです。でも、だからこそ能動的に人と関わる意識が必要。言われたことだけやるのではなく、「自分から動く、自分から聞く」という姿勢は、在宅勤務においてマストの資質かなと思います。

商品への自信が仕事のやりがいにつながなる

今、私はダイレクト出版の関連会社であるインベストメントカレッジで、米国株の投資情報を伝える仕事をしています。じつは最初に事業部に異動するとき、小川から部署の希望を聞かれて真っ先に挙げたのがインベストメントカレッジだったんです。もともと投資に興味があり、しかも自分の生活に直結する知識ですからね。当時は実りませんでしたが、数年越しで願いがかなったことになります。
私が手がけている広告は、主にマーク・フォードというアメリカ人による『大富豪の投資術』という書籍と「銘柄レポート」です。マーク・フォードは投資家であり起業家でもあって、これまでにいくつものベンチャービジネスを立ち上げ、その多くを数億円以上の規模にまで育て上げてきた人物。一例を挙げれば、フロリダのパームビーチで小さな金融系出版社を立ち上げ、年間売上135億円規模にまで成長させています。現在は自身の「富の構築法」について執筆しつつ、パームビーチでのんびり過ごすというとてもうらやましい生活を送っています。しかも、彼の別荘には東京ドーム1個分くらいの庭が付いている(笑)。一般の規格からはかけ離れた世界的な富豪です。

そんな人が書いたものなので、本もレポートもめちゃくちゃ面白いし、タメになる。人にも胸を張ってお勧めできます。私自身、彼から学んだ知識を活かすべく、金融業者としての規定が許す範囲で米国株への投資を実施していて、ちゃんと成果を出しているんですよ。だからこそ米国株の強さと、本当にお勧めできる情報だということが実感できるし、私のようなフロントエンド(顧客を呼び込むためのとっかかりになる商品)広告を手がける人間にとっては、見込み客の気持ちに寄り添え、仕事に活かせるというメリットもあります。
ソニー・アメリカのときも、いいプロダクトができあがり、それがマーケットに出たときにはすごい喜びを感じましたが、ダイレクト出版の場合もやはり商品のよさが仕事のやりがいにつながっています。その商品について私が書いた広告にお客様が反応してくれるのがとても嬉しいのです。
このやりがいは事業部に移ったからこそかなと思うと、あのとき自ら異動を願い出たことは間違ってなかったと思います。そして、在宅勤務でも正社員と同じように働けるダイレクト出版の環境に感謝しています。

商品への自信が仕事のやりがいにつながなる

周囲のママ友たちの話では、赤ちゃんを抱えたお母さんが働くとなると、今でも時短勤務やパートしかないというのが現状のようです。子どもは急に熱を出したりするので、会社を早退したり、仕事が遅れたり、大事な会議を欠席せざるを得ないということはどうしても起こります。
ところが、日本ではそれに対応する仕組みがまだ発達していません。日本の時短勤務だと、「いつ早退するかわからない人には仕事を任せられないよ」となりがちで、それで仕事へのやりがいがどんどん失われてしまうと嘆く声をよく耳にするのです。
ダイレクト出版の場合、自分の時間の使い方は自分で決められるので、子育てによって作業が遅れたとしても、あとで巻き返すことができます。私にとって、そこが一番いいところです。

たとえば子どもがずっと熱を出していて、3日ほどクリエイティブの仕事に集中できなかったとします。すると作業はどんどん遅れをとるし、成果も出せません。でも、朝早く起きて時間を捻出したり、週末を仕事に充てたりして自分の時間をやりくりすれば、その遅れを取り戻すことができます。
やはり育児をどれだけ大切に思っていても、それによって仕事に遅れが出れば、罪悪感のような気持ちが芽生えるものです。でも、どんな状況でも巻き返せると思えれば、そんな気持ちにはなりません。働くお母さんにとって、それは心の余裕につながります。
私自身、朝はみんなで一緒に朝食をとり、娘のお弁当が必要なときはちゃんと手作りして、夕方、子どもを学童保育にお迎えに行ったあとは、一緒に宿題をやったり、今日あったできごとをおしゃべりしながら落ち着いて夕食をとれる時間が欲しい。なので、そういう時間を大切にするためにも、朝早く起きて仕事に取り組むようにしています。冬場は朝5時、夏場は4時台に起きたりするので、私の朝はまだ暗いんですよね(笑)。
人には「大変じゃない?」と言われることもありますが、早起きすると体調もいいし、頭も冴え渡るし、育児にも仕事にも妥協なく取り組めて感情面も安定するんです。
このライフスタイルが送れなければ、やはり仕事へのやりがいはあきらめざるを得なかったかなと思います。ラクをしたいという人には向きませんが、女性で子育てしながら仕事にも全力で取り組みたいという人には、とてもお勧めできます。
じつは、自分で勝手に設定しているだけなんですが、私の仕事の「裏ミッション」は女性の投資リテラシーを高めることなんです。ただでさえ日本人は投資リテラシーが低いと言われるなかで、女性は男性と比べるとさらに低いんですね。また、給与にも男女の格差があるし、シングルマザーの貧困率もすごく高い。女性の働き方にしても、不利な立場に置かれている人はたくさんいます。日本ってそういう面ではすごく遅れているんです。
だからこそ女性の投資リテラシーを高め、自分の人生を謳歌できる下地にしてほしいのです。投資だけですべての問題が解決できるわけではありませんが、少なくとも身に付けてソンになる知識ではありません。むしろ、人生を楽しむためには必須の知識です。
今は広告を出すと、反応してくれるのは圧倒的に男性が多いのですが、私はその状況をひっくり返したいと狙っているのです。女性にこそ投資に興味を持ってもらいたい。それが、女性が生きやすい社会を作るための1つの方法だと信じて、今日も私は広告を作るスキルを磨き続けます。
真田暁子
Akiko Sanada 神奈川県出身。大学卒業後に米国ソニーに勤務、主に商品開発系のプロジェクトマネージメントに携わる。 2012 年、夫の転勤に伴い退職、日本に帰国し、妊娠・出産を経て、2014 年に小川社長の在宅アシスタントとしてダイレクト出版に入社。2015 年からは自己啓発やマーケティング部門の PCC 担当となり、現在はインベストメントカレッジの PPC を担当。